住宅の話題として耳にすることが多くなってきた「ZEH（ゼッチ）」 耳にしたことがあっても、実際どのようなものなのか知っている方は少ないと思います。

今回はZEHについて、ご紹介していきます。

ZEH（ゼッチ）とは「Net Zero Energy House」の略称です。しかし「ZEH住宅」と呼ばれることもありますが、前述のとおりZEHの「H」は「House」を指すため正しい表記は「ZEH」です。

ポイントとして「断熱」「省エネ」「創エネ」の3つがあげられます。

高い断熱性によりエネルギーの無駄な消費を省き、住宅で消費するエネルギーを減らしつつ、太陽光発電などでエネルギーをつくります。

つくりだされたエネルギーが消費するエネルギーを上回ることで、エネルギー収支ゼロを目指した住宅のことをいいます。

世界的な課題となっている地球温暖化。日本政府は2050年カーボン・ニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しています。

そのため2030年以降に新築される住宅で「ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指すこと」が掲げられました。

また、環境書による戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス（ZEH）化等支援事業において、脱炭素とヒートショック対策を同時に実現し、脱炭素ライフスタイルへの転換を図り事を目的とした支援を行うなど、国としてもZEHを推進する動きを見せています。

これらを背景に、ZEHの認知度が高まりはじめ、次世代の住宅モデルとして注目されるようになりました。

長期優良住宅とは、省エネだけでなく、住宅の劣化対策や耐震性、維持保全などの対策が施され、長期にわたり良好な状態で使用するために計画された住宅です。

ZEHは「断熱」「省エネ」「創エネ」のポイントを満たし、年間エネルギー収支をゼロ以下にすることが認定の基準となっています。

対して長期優良住宅は、ZEHと比べて耐震や劣化対策などさらに細かく定められた基準を満たす必要があり、多くの条件があります。

ZEHとして認定を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

• 強化外皮基準（H25省エネ基準/UA値の基準値）
  地域区分1・2はそれぞれ0.46/0.40相当以下、地域区分3は0.56/0.50相当以下、地域区分4は0.75/0.60相当以下、地域区分5～7は0.87/0.60相当以下
• 再生可能エネルギーシステムを導入している
• 再生可能エネルギーを導入したうえで、一次エネルギー消費量の削減が100％以上である
• 再生可能エネルギーを除く、一次エネルギー消費量の削減が20％以上である

環境に配慮された住宅であるZEHですが、メリットもあればもちろんデメリットもあります。

まずはメリットから確認していきましょう。

メリット

• 光熱費を抑えることができる
• 環境に優しい
• 断熱性と気密性の高さにより夏場は涼しく、冬場は暖かい
• 補助金制度を活用できる
• 非常時でも電気を確保でき、自然災害や停電時に強い
• 資産価値が高い

上記がZEHのメリットです。

太陽光システムなどにより、住宅の消費電力を自家発電による電力でまかなうことにより、電力会社から購入する電力を削減することができるため、毎月の光熱費を抑えることができるでしょう。

また、蓄電池を設置することで、自家発電した電力を蓄えることができ、災害時や停電が発生した際、電力会社からの電気の供給が停止した場合でも電気を使うことができます。

なお、ZEHは断熱性能が高いため、外気温の影響を受けにくく、家中の温度を一定に保つことができます。そのため、夏場は涼しく、冬場を暖かく過ごすことができます。特に、冬場に多くなるヒートショックの予防にも期待できます。

デメリット

• 建築費用が高くなる
• 定期的なメンテナンスが必要となる
• 間取りやデザインが制限される場合がある
• 太陽光発電が安定しない

上記がZEHのデメリットとなります。

ZEHは省エネ設備や太陽光発電など「創エネ」設備を導入する必要があるため、メンテナンスを含めた費用がかかってしまいます。建築後には「創エネ」により光熱費を抑えることが可能ですが、どうしても初期費用がある程度かかってしまうことは避けることができません。

また、太陽光発電はその設置により間取りや屋根のデザインなど制限されることがあり、発電に関しては天候に左右されるため発電量が減る場合もあります。

ZEHを建築する場合、ZEH補助金制度を利用することができます。

補助金制度は、ZEHを新築する・ZEHの新築住宅を購入する・所有する住宅をZEHにリフォームするなどの条件を満たす場合に利用が可能です。

補助金制度にはいくつかの種類があり、それぞれの補助金額や採択方式がことなるので注意が必要です。